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Channel: ブックミンの家 -本は、どうして。-
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【abさんご】 黒田夏子/著

『十一ねんでおわるなどとおもいもつかれない 十一ねんめにも,やわらかい檻のつられはじめる 新しさ,つられやむ新しさをくりかえして甘くう ずいた.』36頁 荒れ果てた港町が見えます。 建てられていた基礎か、 あるいは、建てられようとしていた基礎か、 あるいは、壊されようとしていた基礎か。 過去と未来をもったかつての面影が見えます。 東日本大震災から2年。 この本から見える景色は、あの町の光景です。...

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【何者】 朝井リョウ/著

『ほんの少しの言葉の向こうにいる人間そのも のを,想像してあげろよ』174頁 学生であるのだから,なおさらであること。 授業であたってしどろもどろ。 挙手ができなくてきょろきょろ。 ノートにまとめが書けなくておどおど。 唯一紡ぎだした言葉。はっきり話せない。 教師の視線を確かめ,逐一自らの評価を気にして いる。 しかし,彼らは,怠けたのではないのであった。 必死に生きる様なのであった。...

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【等伯】 安部龍太郎/著

『真心なければ姿勢正しからず,姿勢正しからずば円満を欠く。』下巻337頁 教職を得て4年。 前日,勤務校にて研究会の社会科歴史分野の授業提案をさせていただく機会を得た。 小学校3年間,中学校1年間の指導,児童生徒の反応を思い出し,打てる手だては昨年の4月から打ち,生徒と共に10ヶ月かけて作り上げた授業であった。...

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【ヨハネスブルグの天使たち】 宮内悠介/著

『信仰を決めるのは、一人ひとりの内面ではないのかもしれないな。場所であり、座標なのだ。』20頁 「わたし」はひとりの人間である。 日本国憲法にも基本的人権が保証されているのだし、名前があるのだし、そもそも疑う余地がないだろう。 医学の世界であっても唯一無二のわたしであるに違いない。 しかし、 テロが続く。 紛争が続く。 いじめが起こり続ける。 果たして、わたしたちは、 社会生活のなかで、...

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【さようなら、オレンジ】 岩城けい/著

『行きたいところを頭に思い描き、しっかりと前だけを見て、なにも見落とさないように、懸命になっていればいい。』156頁 ともすると、自己中心な生きざまに思える。 自分のための人生、自分が作る人生。孤高のあゆみ。 でも、主人公、サリマには身勝手さを感じない。寧ろ、その生きざまに温かみを感じる。...

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【恋歌】 朝井まかて/著

『誰もが今生を受け入れてこの骸だらけの大地に足を踏みしめねば、一歩たりとも前には進めぬ』275頁 『瀬をはやみ 岩にせかるる滝川の・・・』 本書の舞台となる、幕末から明治維新にかけた時代は、正に「滝川」のようだった。 正義が、悪になり、悪が、正義になる。そのなかで志高く生きた人々は、時代にぶつかり翻弄された。...

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【火花】 又吉直樹/著

『それは、花火の音を凌駕する程のものだっ た。群衆が二人を祝福するため、恥をかかせな いために力を結集させたのだ。(中略)「これ が、人間やで」と神谷さんはつぶやいた。146 頁』 読了。 花火大会。群衆が花火に拍手を贈る。それは、 決して打ち上がった花火が美しいから、素晴ら しい出来だったから、ではない。その花火に添 えられたメッセージ放送が群衆の心を震わせる ものだったから。...

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【スクラップアンドビルド】 羽田圭介/著

『あらゆることが不安だ。 しかし少なくとも今の自分には、昼も夜もない 白い地獄の中で闘い続ける力が備わっている。 先人が、それを教えてくれた。』121頁 戦後70年。 この本をこの節目に読めてよかったと思う。 戦時中の様子がTVやイベントで特集しており、 それを目の当たりにしながら、「ああ、戦争と は惨いことよな」と、学ぶのだけれど、明日か らの生活を乗り越えるために不可欠な情報で...

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【地図で読む 幕末・維新】 歴史ミステリー倶楽部/著

『小御所会議において、山内容堂は岩倉に真っ向から対立したが、天皇を「幼沖」と発言したことを岩倉に咎められ、論戦に敗れた。』149頁 山内容堂は、王政復古の大号令に際して、徳川家が新政府に参加しないという岩倉、大久保ら討幕派の方針に異を唱えた人物。 藩祖山内一豊以来徳川家に尽くす心。 泰平の世を築いてきた徳川家に報いようとする心。 山内家らしい、胸を打つエピソードやなあと感動する。...

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【異類婚姻譚】 本谷有希子/著

『自分には自分だけの体があったのかと、まだうわうわしている体に触れながら、私は感心した。』110頁 結婚をした、転勤した、様々な出合いが自分をつくっているということは、使いふるされて久しい考え方になっている。 果たして、本当にその「造られた自分」は、本当のところ「自分」なのかは未だに判らずにいるし、むしろ考えたくなくなってきている。...

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